TRPGとは?

そう聞かれると、実はなかなか答えに困ってしまうものです。

その解釈は多様ですが、手短に、かつ乱雑に言えば「コンピュータを使わずに遊ぶRPG」といったところでしょうか。

まずはTRPGという言葉を分解してみましょう。

TRPGは「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム」の略称です。

つまり、「卓を囲み、参加者がルールに従って、会話をもとに役割を実行し、物語を作り上げていくゲーム」なのです。


このゲームを成立させるにあたって必要なものが、“ルール“ “進行役“ “シナリオ“ “プレイヤー“の4つです。

以下、順を追って解説します。

ルール -ゲームのお約束-

まず“ルール“は、市販・頒布されているルールブックのことを指します。

コンピュータRPGにおいてゲームシステムと言われるような部分で、その名の通りゲームのルール説明や世界観説明などが書かれており、参加者は基本的にこれらのルールに従ってゲームを進めていくことになります。

しかし、残念なことにルールと呼ばれるものの多くは不完全なもので、ビデオゲームにおける抜け穴のようなものはTRPGにも存在します。

そこで“進行役“という存在の意義が出てくるのです。

進行役 -ゲームマスター-

“進行役“は多くの場合「ゲームマスター(GM)」、「キーパー(KP)」などと呼ばれ、プレイヤーたちの発言をもとにゲームの進行を管理する役割を持っています。

また、ルールの裁定だけでは解釈がハッキリしない場合などに、最終的な決定を下す権利も持っています。

ビデオゲームにおいてプログラムや開発者が行っているような作業の多くを、TRPGではゲームマスターが担当しているため、”進行役”は先の4つの中で最も重要なファクターであると言えるでしょう。

シナリオ -目標と指針-

”シナリオ”は、進行役がゲームで遊ぶために用意した物語のあらすじです。

プレイヤーたちは、協力し合ってこのあらすじを完結へと導くこと、つまり、シナリオをクリアすることがひとまずの目標となります。

このとき勘違いしてはいけないのが、「プレイヤーと進行役は対立関係にない」ということです。

実は、進行役とプレイヤーは「シナリオを完結へと導く」という点で目的が一致しています。

ビデオゲーム製作者の多くが、プレイヤーを楽しませるために敵や罠を配置しているのと同じように、進行役はシナリオを面白くするため、あえてプレイヤーへ試練を与えているだけなのです。

プレイヤー -主人公たち-

“プレイヤー“は、ゲームの登場人物として役割を果たすこととなります。

一般的なビデオゲームにおける”プレイヤー”という言葉と、それほど大差ありません。

しかし、TRPGにおけるプレイヤーは、シナリオが掲げる目標から大きく逸脱しない限り、出来合いの選択肢に縛られることなく発言や行動をすることができます。

ルールや進行役とも相談しつつ、物語に参加していくのです。

ここがTRPGとコンピュータRPGの最も違う部分であると言えるでしょう。

おわりに

TRPGの説明に苦労する要因の一つに、「一口に他のボードゲームやビデオゲームと比較することが難しい」点があると考えます。

TRPGは「対戦ゲームのように人と人が関わるのに、1人用ゲームのように明確な勝者や敗者が存在しない」ちょっと不思議なゲームなのです。

本ページでは、なるべくビデオゲームとの対比を意識して解説させていただきました。「読んでみたけど結局よくわからなかった」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような人にこそ実際にプレイしてほしいと願っています。

理由は単純で、”習うより慣れよ”という先人の言葉のように、「実際に遊んでみる」ことがTRPGというゲームを理解する一番の近道だからです。

あなたも、想像力の靴をはいて冒険に出かけてみませんか?

(本倉 2018)

参考文献

これらはTRPGのルールブックです。

”ルール”と”シナリオ”が収録されているため、”進行役”と”プレイヤー”がそろうことでゲームとして遊ぶことができます。